皆さまこんにちは!
このサイトの管理者のHide(ヒデ)と申します。
今回は、最近、私の方で遭遇したバッファロー社の有名なNAS(ネットワークHDD)である、LinkStationのトラブルについてお伝えしたいと思います。最終的に復旧できたのですが、他のサイトで書かれているような形ではなく、意外な形で復旧しましたので、参考になればと思い書かせて頂きました。(※ご注意:本ブログの内容により復旧を保証するものではありませんので、実施に当たっては自己責任にてお願い致します。)
私のお付き合いのある会社様で、LinkStationをお使いの企業様がありました。ご利用の型番はLS-WX4.0TL/R1Jという製品で約7年前の製品でしょうか。こちらの企業様より、LinkStationにつながらなくなったので見てほしいとのことでご連絡がありました。
私は特にハードの専門家ということではないのですが、LinkStationは以前より内部でLinux(OSですね)が動いているということは知っていましたので、最悪、インターネットの情報などをもとに、コマンドなどでデータをコピーできるのではと思っていました。
ここからは実際のLinkStationの状況と実際に行った作業について書かせて頂きます。具体的な操作などについては他のサイトでも詳しく記載されていますので割愛している部分もありますがご了承ください。
Contents
1. LinkStationの状態確認
お客様企業に到着しまして、Windowsのパソコンを1台お借りしました。LinkStationのフォルダのショートカットがデストップにあり、ダブルクリックすると、マウスのポインタがぐるぐると回ってしまい、待機状態となりアクセスできませんでした。また、IEなどのブラウザのURLにLinkStationのアドレスである「192.168.1.***」と入力しても設定画面にアクセスできない状態となっていました。
2. LinkStationに対してのPing操作
LinkStationにアクセスできない状態が確認できましたので、今度は、WindowsのコマンドプロンプトでLinkStationに対してPingを打ってみました。「ping 192.168.1.***」と入力してEnterにて実行すると、意外にもReplyが戻ってきました。
LinkStationは、専用のアプリをインストールすることで状態を確認することができます。お借りしたパソコンには入っていませんでしたのでバッファロー社のページから「NAS Navigator2」をダウンロードしてインストールしました。このアプリで状態を確認すると、該当のLinkStationに「!」マークがついており「EM」という表示がされていました。これは「EMモード」という状態のようで、この状態だとLinkStationにアクセスできなくなるようでした。
4. 対処法は4つの内のどれか
EMモードの場合、バッファロー社のサイトによると「1.ファームウェアのアップデート」をためしてみてそれでもだめなら「2. メーカー修理」という旨の記載がありました。その他の方法としては「3. 自力でコマンドを駆使してファイルを復旧する」、「4. メーカーとは別の専門業者に依頼」ということになると思います。
ただ、お客様の方が時間がないようでしたので、「2. メーカー修理」以外で考えてみました。
5. まずファームウェアのアップデートを実施。結果は?
メーカーのガイダンスに基づき、LinkStationのファームウェアをアップデートしてみましたが、結果はアップデートに失敗してしまいました。残念!
6. 自力でコマンドを駆使してファイルを復旧する
前述致しましたが、LinkStationの内部ではLinuxが動いているということで、WindowsのパソコンからLinkStationにコマンドでアクセスできれば、中身のデータを別のパソコンのドライブなどへコピーできる可能性が高くなります。しかし、他のサイトにも書かれていましたが、この操作により保証対象外になるなど不安な点も書かれていました。ただ、7年前の製品ということもあり、いちかばちかやってみることにしました。具体的な方法は他のサイトでも色々出ていますので行った操作の要点だけ記載させて頂きます。
6-1. acp_commander.jarをダウンロード
このプログラムはWindowsからLinkStationへ「telnet」のコマンドで接続する際に事前に実行が必要なようで、このプログラムをまずダウンロードしました。telnetとは他のコンピュータを遠隔操作する際に利用するコマンドになります。
6-2. javaのダウンロード
上記でacp_commander.jarというプログラムをご紹介しましたが、このプログラムを使うためにはWindowsのパソコンにjavaがインストールされている必要があります。javaが入っているか確認するために、マイコンピュータのCドライブ全体を検索対象として「java.exe」というファイルを検索してみると良いと思います。今回、私が利用していたパソコンでは「java.exe」がヒットせず、javaが入っていなかったようでしたので、インストールすることにしました。
6-3. acp_commander.jarの実行
1つ言い忘れたことがありました。「acp_commander.jar」ですが、LinkStationの対象製品が限定されているようでした。ただ、あるサイトにおいて、対象外の製品でもうまくいった旨の記載がありましたので、試してみることにしました。
acp_commander.jarの実行方法ですが、Javaをインストールして「java.exe」のファイルが存在するフォルダにacp_commander.jarのファイルを置きます。次に、Windowsのコマンドプロンプトから現在のディレクトリ(カレントディレクトリ)を「java.exe」のフォルダに移動します。その上で下記のようにコマンドを実行しました。下記の「192.168.1.***」の部分はLinkStationのIPアドレスになります。
java.exe -jar acp_commander.jar -t 192.168.1.*** -o
「acp_commander.jar」のプログラムの実行についてですが、実は私は1回、実行に失敗してエラーが出てしまいました。コマンドは上記のようになるのですが、ご説明の順番が逆になってしまいましたが、コマンドを実行するWindowsのパソコンで事前に下記の3点の準備が必要なようでした。
準備その1:UDPポートの「22936」の送信,受信をそれぞれ開放しました。「Windowsファイヤーフォール」の「詳細設定」からが画面左側の「受信の規則」または「送信の規則」をクリック、続いて画面右側の「新しい規則」より設定しました。本来、送信,受信のどちらか一方の開放でよいのかもしれませんが、念のため両側を開放しました。
準備その2:コントロールパネルからWindowsのファイヤーフォールを無効にしました。私の場合、お借りしたパソコンがWindows7でしたので「Windowsファイヤーフォール」の「Windowsファイアウォールの有効化または無効化」から2ヶ所ある「Windowsファイアウォールを無効にする(推奨されません)」の部分にチェックして「OK」をクリックしました。
準備その3:セキュリティソフトを一時的に無効化しました。
※上記設定はすべての作業終了後、元に戻しましょう。また作成したポート開放の規則は削除しましょう。
6-4. acp_commander.jarの実行結果
Windowsのコマンドプロンプトに「You can now telnet...」というメッセージが表示されましたので、どうやらプログラムの実行は成功したようです。早速、telnetコマンドでLinkStationへの接続を試みました。
6-5. Windowsパソコンのtelnetの有効化
Windowsのコマンドプロンプトでtelnetコマンドを利用するには、事前にtelnetを有効化する必要がありますのでこの有効化を行いました。詳しい方法は「Windows,telnet,有効化」で検索してみてください。
6-6. telnetの実行
Windowsのコマンドプロンプトから下記のように入力してEnterキーを押し、telnetを実行しました。「ping 192.168.1.***」の部分はLinkStationのIPアドレスになります。
telnet 192.168.1.***
6-7. telnetの実行結果
telnetの実行結果ですが、何と失敗してしまいました!「接続ポート23のエラー」とのことです。acp_commander.jarのプログラムの実行自体は成功しましたが、やはりこちらの会社にあるLinkStationは対象外だったのでしょうか。まいりました。その後、TeraTermというtelnetが可能なアプリでも試しましたが結果は同じでした。同じことをやってるだけですからね。
6-8. HDDを取り外して直接データ救出を試みる
LinkStationからHDDを取り外し、Windowsのパソコンになんとかつなげることができれば、「Ext2Fsd」というソフトで復旧できる可能性があることをネット情報にて知りました。たまたま、会社の方にHDD救出用の機器があったため、LinkStationからHDDを取り出し、この機器にセットしてデータ救出できないか試してみることにしました。最近はこのような大がかりな機器ではなく、「SATA-USB変換ケーブル」というケーブルを買えば簡単にWindowsのパソコンと取り出したHDDを直接接続できるようになっていますので便利な時代になりました。
今回作業したLinkStationは、全面にある蓋を簡単に開けることができ、下図のように2つのHDDがセットされていました。LinkStationの上部にあるリングを手前に引っ張ると簡単に取り外すことができます。
LinkStationのHDDとWindowsをケーブルでつないだ後、「Ext2Fsd」のソフトをダウンロードしてインストールし、このソフトを実行してみました。しかし残念なことに、ファイルシステムの表示が「Raw」の表示で、復旧できない状態のようでした。
また、マイコンピュータを開くとLinkStationのディスクに4つのドライブレター(このパソコンではK,L,M,N)が設定されていましたが、それぞれを開こうとすると当然のことながら認識できず「フォーマットしますか?」と表示されました。もちろん、すべて「キャンセル」をクリックしました。いやぁ~危ないですね。フォーマットしたらもともこもありませんからね。この操作を2つのHDDそれぞれに実施しましたが結果は同じでした。
ということで、HDDから直接データの取り出しは断念しました。
6-9. 訪問時点より状況が悪化
HDDから直接データを復旧することをあきらめ、2つのHDDをLinkStation本体に再セットし、電源をONにしました。また、専門業者さんへの依頼を検討し始めました。一旦、LinkStationの状態を確認しようと思いNAS Navigator2 の表示を更新して確認すると何と、LinkStationが非表示になっている。しかもLinkStationへのpingも通らず、LinkStationのPowerランプは青色の点滅をしたまま。本当にショックです。すぐに専門業者さんに電話をかけました。
6-10. データ復旧専門業者さんに電話
データ復旧業者さんに電話を掛けました。このような業者さんは24時間、コールセンターが開いているようで助かりました。というのも、私が作業を開始したのが午前0時を回っていたためです。ほどなく電話がつながりました。が、しかし!技術対応は翌日になるとのこと。本当についてませんね。(涙)
7. 最後に奇跡が!
データ復旧業者さんも本日の技術対応は無理のようでしたので、本日時点での復旧をあきらめ、帰り支度をし始めました。帰る前にLinkStationにpingだけ打ってみようかと思い、pingコマンドを実行したところ、意外にもReplyがありました。しかも先ほど点滅していたPowerランプも点滅から点灯に変わっていました。すぐにNAS Navigator2 の表示を更新してみると該当のLinkStationのアイコンが表示され、しかも「!」マークが消えていました。つまりEMモードが解消されたということです。パソコンのデスクトップにあったLinkStationのショートカットをダブルクリックするとすぐにアクセスでき、フォルダやファイルが表示され、めでたく復旧しました。
※バッファロー社のサイトによると、LinkStationのPowerランプが点滅している場合はまずは30分待つ必要があるようですね(本ブログ執筆時点での管理者Hide調べ)。
8. まとめ
今回、LinkStationのEMモード状態によるアクセス不可というトラブルに遭遇し、最終的に、奇跡的に復旧することがでっきました。何が奏功したのかわかりませんが、「失敗にはなりましたが、メーカーの推奨通りにファームウェアのアップデートを1度試したこと」,「acp_commander.jar」コマンドの実行,「HDDドライブの抜き差し」などが良かったのかもしれません。他のサイトの情報では、コマンドベースでのデータをコピーして復旧されているケースが多いですが、私の場合は単純に復旧してしまったので、意外な形での幕切れとなりました。
今回は、私が最近経験したLinkStationの復旧についてお伝えしました。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。
お疲れさまでした!
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